茨城県高萩市さくら宇宙公園のパラボラアンテナ

皆さんは「宇宙ビジネス」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?
高く打ち上がるロケット、地球を周回する人工衛星、そして月や火星といった近くの天体への探査――そんな壮大なイメージを抱く方も多いのではないでしょうか。近年では、宇宙旅行の可能性も現実味を帯び、著名人が宇宙へ旅立つニュースも話題も話題となりました。

さらに深く掘り下げてみると、地球観測データ(人工衛星画像や気象・環境データ)の応用が多岐にわたる産業で活用され、農業支援や災害監視、都市計画などの分野で急成長しています。GPSを利用した測位サービスや、通信衛星を使った広域通信ネットワークの提供も一般的になっています。

現代において、こうした宇宙空間や宇宙関連技術を活用した経済活動全般を指す「宇宙ビジネス」と呼ばれる市場が活発化しています。

宇宙は、私たちの暮らしや未来に深く関わる「ビジネスの舞台」として注目を集めているのです。

本記事では、宇宙ビジネスとは何かという概要から、その市場規模と今後の成長可能性、そして茨城県が果たす役割についてわかりやすく解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。

宇宙ビジネスとは?宇宙市場拡大の背景と概要

人工衛星と月のイメージ画像

これまで宇宙開発といえば、国家が主導する壮大なプロジェクトというイメージが一般的でした。
たとえば、日本のJAXA(宇宙航空研究開発機構)や米国のNASA(アメリカ航空宇宙局)が進める人工衛星の打ち上げや宇宙探査は、専門機関だけの領域とされてきました。しかし、近年では状況が大きく変わりつつあります。

ロケットや人工衛星の技術が進歩し、小型化やコストの大幅な低下が実現されたことによって、宇宙開発への民間企業による参入が急増しています。
再使用型ロケット(ブースターの一部等を回収して再利用し従来のロケット打上コストの約6~7割のコスト削減を実現)を開発したスペースX社や、最小で手のひらサイズにも収まる小型衛星「キューブサット(CubeSat)」の登場によって、スタートアップ/宇宙ベンチャー企業等の中小企業でも参入可能な時代が到来しました。

もちろん、こうした広がりは、高い加工技術や信頼性を有するモノづくり企業(サプライヤー)にとっても、新たなビジネスチャンスをもたらしています。とくに、精密加工・高機能素材の加工実績・試験評価といった技術に強みを持つ企業には、衛星や宇宙機器への部品供給や検査といった形で新たな活躍の場が広がっています。

このような動きを包括的に表すのが「宇宙ビジネス」であり、それは「宇宙産業」という枠組みの中で拡大を続けています。

宇宙ビジネスを支える技術と応用分野

現在注目されている宇宙ビジネスの技術・応用分野には次のようなものがあります。

  • 衛星から得られるデータ活用による農業・防災の効率化
  • GNSS(Global Navigation Satellite System/人口衛星を使った位置情報システム)による物流・交通の最適化
  • 気象や環境のモニタリングを通じた、保険・金融サービスへの応用
  • 民間による宇宙旅行や月・惑星探査、資源開発など新しい挑戦

このように、宇宙ビジネスは通信、農業、物流、金融といった私たちの暮らしに密着した分野にも広がり、利便性の向上が期待されています。さらに、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などのデジタル技術との融合により、宇宙ビジネスは今後ますます発展していくと見られています。

宇宙ビジネスのこれまでの発展と民間企業の参入

従来の宇宙開発は、日本のJAXA(宇宙航空研究開発機構)や米国のNASA(アメリカ航空宇宙局)など国家機関が主導する壮大なプロジェクトというイメージが一般的でした。しかし近年、小型衛星技術の進展やロケット打ち上げコストの大幅削減により、民間企業の参入が急増しています。

特に、再利用型ロケット(ブースターの一部などを回収・再利用することで、従来の打ち上げコストを大きく削減)の普及や高性能小型衛星「CubeSat(キューブサット)」の登場は、市場参入の壁を下げ、中小企業や大学・研究機関などが宇宙ビジネスに参画可能な時代を切り開きました。地方都市に根差した製造業やIT企業が人工衛星の部品製造や衛星データを活用したソリューション開発に参画することで、地方経済においても宇宙ビジネスの恩恵が広がりつつあります。

こうした動きは、高度な技術力や信頼性を持つものづくり企業(サプライヤー)にとって新たなビジネスチャンスとなっており、特に精密加工・高機能素材の加工・試験評価といった技術に強みを持つ企業は、人工衛星などの宇宙機器への部品提供や検査といった形で新たな活動の場が広がっています。

世界と日本の宇宙ビジネス市場の現状と将来予測

国際的な宇宙市場の成長規模予測のグラフ

引用:Global Market Insights Inc.様 - Space Economy Market Size(国際的な宇宙市場の成長規模予測)
(c) Global Market Insights Inc.

宇宙ビジネス市場とは、宇宙空間や宇宙技術を活用したサービス・製品の需要と供給が生まれる経済的領域を指します。従来の「宇宙開発=国家主導の大型プロジェクト」というイメージから一転し、現在では多様な民間企業が宇宙産業に参入し、新たなビジネス機会を創出する時代へと移行しています。

宇宙ビジネス市場は大きく分けて、①衛星通信、②地球観測・リモートセンシング、③宇宙輸送(ロケットなど)、④宇宙旅行・観光、⑤宇宙探査・資源開発など、さまざまな分野に枝分かれしています。なかでも衛星通信と地球観測は、すでに社会インフラと密接に結びつき、防災・農業・物流・金融・環境モニタリングなどの分野で急速に拡大しています。

このような多様な構成要素をもつ宇宙ビジネス市場は、今や世界規模での成長産業と位置付けられています。調査会社 Global Market Insights 社によれば、世界の宇宙ビジネス市場は2024年に4,180億ドル(約62兆円)に達し、2034年には7,887億ドル(約117兆円)規模に成長すると予測されています。これは、自動車産業や通信業にも匹敵する巨大な市場です。

こうした成長の背景には、再使用型ロケット技術の進化、衛星コンステレーション(複数の人工衛星をグループで配置し、連携・同時運用するシステム)技術の拡充、さらに世界的な防衛・セキュリティ需要の高まりがあります。

事実、稼働中の衛星数は2020年末の約3,300機から2022年末には約6,700機へと約2倍に増加しています(出典:国際機関OECD(経済協力開発機構) - The Space Economy in Figures )。特に、小型衛星の打ち上げが加速しており、2021年前半だけで2020年通年の打ち上げ数を上回ったことが報告されています(出典:Euroconsult社 - Record number of smallsats launched in 2020) 。今後も、世界的に人工衛星及びロケットの打ち上げペースは増加し続けると予測されています。

以上のように、宇宙ビジネス市場は国際的にも国内的にも今後の経済成長を牽引する中核分野です。単なる科学技術の枠を超え、社会や産業の未来を支える新たな基盤として拡大と進化を続けています。

日本における宇宙ビジネス

日本の宇宙市場の成長規模予測のグラフ

引用:Grand View Research, Inc.様 - Japan Space Launch Services Market Size & Outlook(日本の宇宙市場の成長規模予測)
(c) Grand View Research, Inc.

国内の宇宙ビジネス市場も着実に拡大しており、特に打ち上げサービスや小型衛星市場を中心に、高成長が期待されています。Grand View Researchのレポートによると、2023年に約810百万ドル(約1,200億円)だった市場規模は、2030年には2,701.5百万ドル(約4,000億円)に達するとされ、年平均18.8%の成長率が見込まれています。

また、政府が策定した「宇宙基本計画」のもと、宇宙産業の振興に向けた制度整備や産業育成が着実に進められています。この計画は内閣府が中心となって推進しており、宇宙技術の社会実装や国際競争力の強化を目的としています。

地方自治体の参画も活発化しており、地域の中小企業と連携した部品製造や衛星開発、ロケット打ち上げ支援など、宇宙産業のサプライチェーン(供給網)を地域レベルで支える取り組みが進んでいます。

このように、宇宙ビジネスは政府主導の科学技術政策だけでなく、地域経済や地場産業とも密接にかかわる形で拡大しており、地域経済の新たな成長機会となる可能性を秘めているのです。

宇宙ビジネスで活躍する日本のモノづくり技術

ここまで、宇宙ビジネス市場の進展と予測や、宇宙ビジネスへの民間中小企業の参入機会が増えていることについて述べてきました。

では、実際に中小企業が宇宙ビジネス分野に参入するために、どのような課題があるのでしょうか。

まず、宇宙ビジネスにおける技術的な基本要件として重要なことは、「高精度かつ高信頼性の設計・製造技術」です。

宇宙空間では、私たちが生活する地球上と異なり、無重力(又は微小重力)環境、極端な温度差(熱真空)、強い放射線、高速移動中の衝撃や振動など、過酷な条件下にさらされます。そのため、宇宙機器に用いられる部品やシステムには、極めて厳格な品質基準を満たすことが求められます。こうした設計・開発には、幅広い材料に関する深い知見や、高度なシミュレーション技術を要します。

こうした状況を踏まえると、地域のメーカーやサプライヤー視点では宇宙ビジネスへの参入ハードルが高く感じられるかもしれません。

しかし、実際には日本が強みとしている分野(航空産業や医療産業、自動車産業、プラント産業等)で、既に宇宙ビジネスへ転用可能な技術を持っているケースも多いのです。例えば、プラント産業に関わる企業では、高温高圧に耐える構造設計・特殊金属の加工技術や信頼性/非破壊検査やトレーサビリティの確保等の高い品質管理体制を築いており、こうした技術やノウハウは宇宙分野に応用が可能です。

また、宇宙ビジネスにおいては、スピードやコストの削減も重視されるほか、単に大量生産するのではなく、特定の用途に最適化された部品やユニットを「少量かつ高精度」で製造するケースが多いのが実情です。例えば、ミッションごとに異なる構造や仕様が求められる人工衛星の部品や、打ち上げ前の検証用モデル(EM:エンジニアリングモデル等)の製作などが代表例です。

さらに、試作段階で設計内容の変更がかかる場合もあり、柔軟な対応を求められることも少なくありません。

このような「小ロット・多品種・高付加価値」製品への対応力は、中堅・大企業に比べて、意思決定の柔軟さや機動力に優れ、柔軟な生産体制を持つ中小企業の強みでもあります。少人数だからこそ意思決定が早く、加工設備の段取り替えや工程変更に対応しやすいという特性や対応力は中小企業にとってアドバンテージとなる可能性を秘めているのです。実際に大手企業が手を出しにくいニッチな案件や初期段階の開発プロジェクトにおいて重宝される傾向があり、宇宙ビジネスの試作・開発フェーズにおいては、むしろ中小企業が“最初の一歩をともに歩むパートナー”として選ばれるケースも増えています。

「メイド・イン・茨城」の実力──多様な産業基盤が支える技術の厚み

茨城県日立市の風景

これまで解説したように、宇宙機器製造における要求水準は極めて高く、製品の設計・製造・検査の全工程において妥協が許されません。

こうした厳しい要求に対して、茨城県の中小企業は、これまでに多様な産業分野で積み重ねてきた高度なものづくり技術と柔軟な対応力を活かし、宇宙ビジネス市場においても存在感を発揮できる力を持っています。

茨城県の製造業の特徴を語る上で欠かせないのは、まず、日立市を中心とした県北・県央地域に集積したものづくり企業群です。総合電機メーカーを中核とした関連企業は、家電製品から重電機、鉄道、プラント設備に至るまで、あらゆる分野で世界に誇る日本製品を生み出してきました。その供給を担ってきた地場中小企業には、難削材の高精度加工、大型構造物への対応、精密部品製造に必要な熟練技術が根付いており、現在もなお、プラント機器や半導体製造装置、医療機器といった高度産業に関わる企業が多数存在しています。こうした高難度加工や厳格な品質管理体制を求められる分野での実績は、宇宙産業に求められる技術との親和性が極めて高く、即戦力となる力を持っています。

それ以外にも、茨城県には高度な技術を擁する大手企業・研究機関が数多く集積しています。たとえば、鹿島臨海工業地域には石油化学コンビナートを中心に、火力発電プラントや製鉄関連施設が立地しており、これら大型プラントに必要な耐熱材料、高圧対応部材、溶接・接合技術などを供給する企業群が発展してきました。極限環境下での信頼性が求められるこれらの分野での実績は、ロケットエンジンや人工衛星の構造材に通じる技術的蓄積となっています。

また、東海村周辺には日本原子力研究開発機構(JAEA)や関連施設が集中し、放射線環境下での材料評価、精密計測、遠隔操作技術といった特殊分野における知見が長年にわたり蓄積されています。

さらに、つくば市には筑波研究学園都市として国内最大級の研究機関群が展開し、物質・材料研究機構(NIMS)や産業技術総合研究所(AIST)など、先端材料開発や計測技術の最前線を担う拠点が存在します。加えて、県南・県西地域には大手建設機械メーカーや自動車関連企業が立地し、油圧制御技術、駆動系システム、耐久性試験のノウハウが集積しています。

こうした多様な産業基盤が県内全域に広がることで、茨城県の中小製造業は単一分野にとどまらない技術の複合性と応用力を自然と身につけてきました。過酷な環境への対応、厳格な品質保証、異分野技術の融合——これらはまさに宇宙産業が求める要素そのものであり、茨城県の製造業は地域全体として「宇宙開発の技術基準」に対応しうる文化と実力を育んできたと言えるでしょう。

このように、茨城県の製造業は決して一社一業種に閉じない多様性と、複数企業の連携によって補完し合う“協働力”によって支えられています。加工・組立・制御・検査といった各工程における専門性が地域内で網羅されており、こうした分業体制がスムーズに機能することによって、短納期対応や試作の迅速化といった付加価値も生まれています。これは他地域にはない“地域横断型ものづくり”の一つのモデルとして、宇宙ビジネスのみならず、日本全体の次世代産業創出においても注目すべき事例といえるでしょう。

茨城県の挑戦|IBARAKIスペースサプライネットワークとは

IBARAKIスペースサプライネットワークのキャッチ画像

近年、宇宙ビジネスや宇宙市場の急速な拡大により、衛星やロケットに使用される部品や構造物には、これまで以上に高い技術力と品質が求められるようになっています。こうした高度な要求に応えるためには、個々の企業だけでなく、地域全体での連携体制を築くことで、一段上の充実したサプライサービスの提供が実現できます。

茨城県では、県内企業の強みを活かして宇宙市場への参入を後押しするべく、「IBARAKIスペースサプライネットワーク」という供給基盤を2024年10月に発足しました。当ネットワークでは、金属加工や精密機械加工を得意とする製造業だけでなく、ソフトウェア開発、組込み制御、プリント基板設計、数値解析など、多様な分野の企業が参画した共同体であり、設計から製造、試作、組立、評価、制御に至るまでの対応力を地域全体で整えています。

また、つくば市に所在するJAXA(宇宙航空研究開発機構)の研究開発拠点や筑波大学といった国内有数の研究機関との連携が可能であることも、茨城県ならではの大きな強みの一つです。参画企業と研究機関、宇宙ベンチャー企業やトップランナーの招致も含めた勉強会を定期的に開催しており、参画企業の知見の深化を行うとともに、県内企業が有する現場の技術力とのシナジーの発生までを支援して、より高度な宇宙ビジネスへの対応が可能となっています。さらに、ネットワークに参加する企業に対しては、展示会への共同出展支援や大学・研究機関との協業支援、さらには販路拡大のための商談会の場を提供するなど、行政による後押しも充実させています。

そして、IBARAKIスペースサプライネットワークでは、バイヤー・サプライヤー間のマッチング支援を積極的に行っており、相談を受けた案件については、最短1週間というスピードで適切な企業を専門家が選定し、ご紹介させて頂ける体制を整えています。これにより、茨城県のメーカーの高度なモノづくり技術を駆使した、宇宙ビジネスの発展に持続的に寄与していく取り組みを進めて参ります。

それでは、茨城県のモノづくり企業の強みに焦点を当てて、説明いたします。

茨城県の挑戦:IBARAKIスペースサプライネットワーク

これまで説明してきたように、近年、宇宙ビジネス市場の急速な拡大により、民間企業の参入が広がっている一方で、人工衛星やロケットなどの宇宙機器に使用される部品や構造物には高い技術力と品質が求められます。こうした高度な要求に応えるためには、個々の企業だけでなく、地域全体での連携体制を築くことで、充実したサプライサービスの提供を実現することが重要となります。

茨城県では、県内企業がそれぞれ自社の強みを活かして宇宙ビジネス市場へ参入することを後押しするべく、2024年10月に「IBARAKIスペースサプライネットワーク」という県内のものづくり企業などで構成された共同受注ネットワークを立ち上げました。

このネットワークは金属加工や精密機械加工を得意とする製造業のみならず、ソフトウェア開発、組立制御、プリント基板設計、数値解析など多分野の企業が参画した共同受注体制であり、設計から製造、試作、組み立て、評価、制御まで地域全体で対応できる体制を整えることを目標としています。

つくば市に所在するJAXA(宇宙航空研究開発機構)や筑波大学といった国内有数の研究機関との連携が可能であることも、茨城県がもつ大きな強みの一つです。

ネットワーク活動の一つとして、研究機関、宇宙ベンチャー企業等を講師に迎えたセミナー・勉強会を定期的に開催しており、宇宙ビジネスに通じた人材育成を目指しています。

さらに、参画企業に対しては、宇宙ビジネス関連展示会への共同出展支援、大学・研究機関との協業支援、専任コーディネーターによる企業間での直接交流の場の提供など、行政によるサポートも充実させています。

特に、当ネットワークでは、バイヤー・サプライヤー間のマッチング支援を積極的に行っており、ネットワーク宛てに寄せられた相談案件については、最短1週間で適切な企業を選定・紹介する体制を整えています。 こうした体制により、茨城県のメーカーの高度なものづくり技術で、宇宙ビジネスの発展に持続的に貢献することを目指しています。

IBARAKIスペースサプライネットワーク参画企業の特徴

ここでは、茨城県内におけるものづくり企業の技術や実績について、具体的な事例を交えてご紹介します。

一例ですが、金属加工メーカーでは宇宙産業でニーズの高い高強度・軽量・防錆性・耐熱性を持つチタンや、超耐熱・高強度・耐衝撃性に優れているインコネルを用いた素材を扱い、ミクロン単位の精度が要求される部品を安定して量産しています。精密な加工公差を守るための設備と、それを扱う熟練技術者のノウハウが融合し、宇宙用機器の部品として高い評価を受けています。

また、CFRPやセラミックスなどの先進複合材料に対応する企業もあり、これらの素材特性を理解した上での切削・成形技術を応用し、軽量性と耐熱性が両立した宇宙機器向け部品の供給実績を持っています。

電子設計の分野では、センサーや制御基板の開発・製造を担う企業が、温度変化やノイズ耐性といった宇宙特有の要求仕様に適合した製品を提供。試験・検証まで一貫して対応する体制が整っており、複数の研究開発プロジェクトにも参画しています。

さらに、ソフトウェアやデータ解析の分野でも、AIを活用した衛星画像の解析や、通信・姿勢制御系のアルゴリズム開発に携わる企業があり、設計から運用支援までをカバーする体制も構築されています。 こうした多様な技術分野のプレイヤーが、個々に専門性を発揮するだけでなく、必要に応じて外部企業や研究機関と連携し、柔軟な連携と提案力を武器に、宇宙産業という最先端分野においても確かなプレゼンスを発揮しています。今後も、現場力に裏打ちされた技術で、宇宙開発を支える存在としての成長を目指します。

パターンB:宇宙産業で活躍する茨城県企業の事例紹介

JAXA宇宙スペースセンター内の展示品

実際に、茨城県内で宇宙市場における部品製造/試作品開発を行っている企業も多々ございます。ここで、県内企業で宇宙ビジネスに参入している企業の一部をご紹介いたします。

株式会社菊池精機

Solid-CubeSat-Structure-3U
Solid-CubeSat-Structure-3U

株式会社菊池精機様は茨城県日立市に立地するメーカーで、超小型衛星のCubeSat向けのボルトレス構造体製品を設計/開発。解析から試験までまでをワンストップで対応しております。航空機向け大型治具の設計ノウハウを活かし、宇宙ビジネスにおいても幅広いニーズへの対応が可能です。左図のCubeSat構造体はつなぎ目無しで一体化を実現するボルトレス構造としており、筑波大学とも連携した確かな評価を実施し、高性能と高信頼性を両立する製品です。詳しくは、下記ページもご覧ください。

株式会社ヨシダ

廃炉向け鉛遮へい付グローブボックス
廃炉向け鉛遮へい付グローブボックス

株式会社ヨシダ様は、茨城県水戸市に所在する設計、機械加工、製缶溶接までの一貫生産を強みとする企業です。図のグローブボックスは原子力プラントで放射能を封じ込めたまま、容器の中の物を安全に取り扱える製品です。加えて、ヨシダ様は遠隔操作ロボットの開発を手掛けるベンチャー企業と新会社「スペースロボティクス」を設立しており、国際宇宙ステーションにグローブボックスを搭載予定。ステーション内での科学実験等に活用される計画がされています。企業詳細は、下記ページもご参照ください。

まとめ|宇宙ビジネス市場における茨城県の役割と今後

宇宙を想起する土星のイメージ図

これまで解説したとおり、近年、宇宙ビジネス市場の裾野は大きく広がりつつあります。かつて国家主導の限られた領域であった宇宙産業は、今や民間企業や地方の中小製造業も参入できる時代となりました。

そのなかで、茨城県が取り組む「IBARAKIスペースサプライネットワーク」は、地域の技術力と研究機関の知見を融合させ、宇宙ビジネスに求められる高い品質・スピード・柔軟性に対応できる先進的な供給モデルとなることを目指しています。

今後も宇宙ビジネス市場はさらなる成長が見込まれ、通信・観測・資源開発・観光など多様な分野での技術ニーズが生まれていきます。そのなかで、地域の製造業が果たす役割はますます重要になります。 地方から宇宙へ――未来の宇宙ビジネスを支えるため、茨城県の挑戦は続きます。

ご相談・お問い合わせ

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